不思議なフローチャート

サラ金VS自治体バトル過熱
2008年03月30日 Asahi.com

 自治体と消費者金融が「取引記録の開示」をめぐって攻防を繰り広げている。自治体の狙いは、消費者金融の借り手が滞納している地方税の徴税。借り手から消費者金融への「過払い金」に目をつけて取引記録の開示を求めたのに対し、消費者金融側は「個人情報保護」を盾に防戦。自治体が刑事告発などを検討する動きもある。

 茨城県の全市町村でつくる徴税組織「茨城租税債権管理機構」は昨年9月、地方税を滞納していた40代男性について、消費者金融大手3社に貸借取引記録の開示を求めた。男性の3社への過払い金から地方税をとるには、実際にいくら払いすぎていたかを確定させる必要があるからだ。

 機構が求めた回答期限は2週間後。しかし、3社すべてが「期限の法的根拠が不明」「本人の同意書が不可欠」などと反論。文書や電話で何度も交渉を重ねた末、開示されたのは今月だった。

 過払い金からの徴税は、昨春ごろから広がり、全国約30の自治体が取り組む。固定資産税や住民税など地方税の滞納額は全国で2兆円規模。財政難の自治体にとって、過払い金は滞納分を一気に減らせる「埋蔵金」(徴税担当者)に見える。茨城租税債権管理機構が回収している滞納額は約25億円。「滞納者の2〜3割は消費者金融と長く取引しているとみられ、過払い金から最高1億円を徴税できる可能性がある」という。

 「埋蔵金」の採掘に向け、自治体は次々と記録の開示を請求。大手のアコム武富士、プロミス、アイフルなどでは数十〜数百件にのぼっているとみられる。

 一方、ただでさえ過払い金の返済で業績が低迷している消費者金融側は、自治体の請求に抵抗。「取引記録は個人情報」という名分を盾に「本人の委任状がないと応じられない」とつっぱねる例が多い。

 これに対し、自治体側は「同意書や委任状を消費者金融から求められる筋合いはない」と主張。地方税に準用される国税徴収法が「滞納者に債権や債務を持つ人に徴税者が質問・検査できる」とし、罰則もあるからだ。

 過払い金からの徴税は、滞納者の協力を得て進めるのが通例なので、記録開示の同意も得られなくはない。しかし、いったん同意書の提出を認めれば、今後の徴税に悪影響が出る恐れがあると自治体側は懸念する。

 消費者金融側の抵抗を受け、自治体側は相互に連携しながら攻勢を強めようとしている。

 一部自治体は、消費者金融への行政処分金融庁に働きかけ始めた。貸金業法が「借り手の利益の保護のため必要な場合は国が業務改善を命令できる」としているためだ。金融庁は慎重だが、圧力が増せば対応を迫られる可能性もある。

 茨城租税債権管理機構は捜査当局と協議し、態度が硬い大手消費者金融を刑事告発する検討に入り、その方針を通告した。すると、この大手は「今回に限って開示する」と態度を一転した。兵庫県芦屋市でも同様の例があり、今後も告発を武器に迫る構えだ。

 ただ、消費者金融側も粘り腰で防戦につとめる。過払い金からの徴税が全国で約1800ある自治体に広がれば、経営への打撃が深刻になるからだ。厳しく攻め立てる自治体には開示を認めても、別の自治体からの請求には、また一から交渉をやりなおす。

 さらに、自治体側に「記録開示」の関門を破られて差し押さえを受けても、「受け取った金利は有効」などとして支払いを拒む場合も多い。

 こうした拒否に対しては、昨年9月に茨城租税債権管理機構が武富士に支払いを求めて提訴。芦屋市や三重地方税管理回収機構も続き、攻防の舞台は行政、刑事、民事の3方面に広がっている。

 《過払い金》利息制限法の上限金利(元本によって年15〜20%)を超えて借り手が支払った金利出資法では29.2%超でないと刑事罰の対象にならず、多くの消費者金融が両方の間の「グレーゾーン金利」で貸していたが、最高裁は06年1月、グレーゾーン金利を原則として無効と認定。借り手から過払い金返還請求が相次いでいる。

他県に支店などを持たない、いわゆる知事登録業者は県から監査を受け、業務報告を提出しています。契約書、領収書など細部にわたって監査を受けます。
県が業者に対して、そのやり方ではいけませんよということになれば、行政罰をうけることになります。
上の記事の場合、業務やっていてもいいですよと言っていながら、やっぱりだめになったから取りすぎの部分は県に返しなさいといっているように読めるのだが。

県に登録する際の上限金利には、はっきりと29.2%と記載している業者がほとんどです。
確かに大手の場合ね財務局登録となり、県とは違いますが。(皮肉です)