「分身」読み終えて
すっかりというより、かなり遅れて東野圭吾にはまってしまい
本の厚さにつられて買ってしまう。
この本のなかで一番共感したのは、阿部晶子がホテルで双葉に会い、その後に述べた本音。
自分が知らないところで生まれていた20年前のクローンの自分。
それを見たときの嫌悪感。更年期の自分が20年前の自分に抱く嫉妬。
ただ、最後にレモンを2人とも持ってラベンダー畑で初対面をして終わるところは、ちょっとという感じ。
いかにも、映画のラストシーンにするならこうでしょと、筆者が押し付けているようでなんとも。空港で大阪弁の子供がレモンを手渡すときから、このラストが想像できてしまうから。私でも分かってしまうのですから少しベタでしょうか。
しかし全編を通してかなりひきつけるものがあってとても楽しく読めました。
人が運命というような言葉を使う理由が分かったような気がしました。
ずっと昔から人は、細胞というものがとても頭がよくて、あるところでは未来まで予測できる力を持っていることを知っていたのではないでしょうか。
ただ、それを使い発達させることはとても怖いことだから、神の領域であることにして「運命」というような言葉を作り上げたのかも。
なーんて。