貸金上限金利、10万円まで特例29.2% 金融庁調整
2006年08月18日09時03分
 貸金業の貸出金利の引き下げ問題で、金融庁は、現行の出資法の上限金利(年利29.2%)を特例で一定期間、認める方向で調整に入った。特例金利で借りられるのは1社だけから、元本10万円以内で、1年以内に返済できる分とする見通し。融資を望まない人に借りるよう勧める「不招請勧誘」の禁止も規制強化策に盛り込む考え。金融庁は24日の有識者懇談会の議論を踏まえ、8月中に貸金業規制法などの改正案をまとめ、与党との協議に入る方針だ。
金融庁金利規制案


 政府・与党は貸金業の上限金利を、利息制限法の上限(年利15〜20%)に原則一本化し、刑事罰がある出資法との間のグレーゾーン金利を撤廃する方針だが、貸金業界や一部議員が特例の高金利の容認を求めていた。

 金融庁は少額・短期なら出資法の上限金利でも利用者の負担が小さく、多重債務に陥る危険が少ないと判断。元本を50万円までとする案もあったが、利用者の1社あたりの平均残高は約40万円であることから「50万円では少額と言えない」との意見が強まった。

 金融庁は3〜5年かけて金利の一本化を実現させる方針。「特例」は一本化から2年程度の暫定措置として認める方向だ。「例外を設けると例外でなくなることもある」(与謝野金融相)との慎重な見方があるためだ。限度額内で何度でも借り入れや返済ができるリボルビング取引には認めない。

 ただ、10万円の金額規制が機能するには、貸し出しの際に客が他からどれだけ借りているかをきちんと把握する仕組みが欠かせない。金融庁は今回の法改正で業者に信用情報機関への登録を義務付け、顧客情報の一元管理体制を促す方針だが、現在は貸金業界の「全国信用情報センター連合会」で加盟率は2割以下。全業者の登録には時間がかかる恐れがあり、その間の対策が必要となる。

 金融庁はまた、利息制限法の上限を50万円未満が年利20%、50万円以上500万円未満が同18%、500万円以上が同15%に引き上げる案や一律同20%とする案も検討している。「今の上限は50年以上変わらず、物価上昇を考えれば理解を得られる」としているが、元本によっては金利が高くなるため、実現は難しい情勢だ。

 一方、不招請勧誘の禁止を盛り込むのは、多重債務者の中に「業者に借り入れを勧められたことがきっかけ」という声が多いためだ。

 同様の規制は6月成立の金融商品取引法にも盛り込まれ、外国為替証拠金取引で顧客の求めのない勧誘を禁止した。そこまでは厳しくならない見通しだが、「あなたなら絶対に返せる」などと根拠のない理由での勧誘は禁止になるとみられる。

貸金業規制 保証料悪用を防止へ2006年08月17日16時37分
 政府・与党が検討中の貸金業への規制強化策で、保証料の取り扱いが新たな焦点となっている。貸金業者と保証会社が組んで高額の保証料をとる悪質な手法を防ぐため、利息と保証料を合わせて上限金利の範囲内に規制する方針だったが、第三者の保証まで取り締まるのは法的に難しいとの見方が強まっている。金融庁貸金業者が保証会社を紹介した場合など、事実上の利息とみなす例を具体的に明記することを検討中で、8月中に貸金業規制法などの改正案をまとめ、与党との調整を始める方針だ。

 現在の出資法は保証料を原則として利息とはみなさず、貸金業者が客から保証料を直接受け取った場合や、貸金業者の子会社が保証した場合に限り上限金利規制の対象としてきた。

 これに対し、金融庁有識者懇談会や自民党金融調査会では、「金利も保証料も利用者のリスクを負担するもの。その合計を上限金利の範囲内に規制するべきだ」という意見が多く、原則として利息とみなす方向で法改正の検討を進めてきた。

 ところが、貸金業者と無関係に客が保証を受けた場合など、貸金業者への罰則適用が難しい場合も想定され、法務省は「刑事罰は構成要件を明確にする必要がある」と指摘。金融庁幹部は、「保証料の規定をしっかり決めないと、深刻な規制逃れを生む可能性がある」との見方だが、調整が難航している。

 現状でも、貸金業者が特定の保証会社への振り込みを貸し出し条件にしたり、短期間で何回も借り換えさせて、その度に元本の10%程度の保証料を払わせたりするなど、保証会社と一体で、実質的に利息をかさ上げする例が後を絶たない。

 8月上旬には貸金業界の有力者が保証会社の代表者を兼ねている事例も判明。この業者は「不正は一切していない」と主張しているが、多重債務問題に詳しい弁護士は「子会社に保証会社を持つ貸金業者同士が、互いの客を保証し合うことで金利規制を骨抜きにしている恐れがある」と指摘する。

 今のところ、保証を貸し出しの条件とするなど違反事例を法律に明記したうえで、検査の強化で規制逃れを防ぐ案が有力になっている。

利限法に一本化され、保険料、保証料も含まれるのであれば中堅以下の業社は貸付の際にすぐ公正証書の委任状とってしまうような。50万円ぐらいでも。書類の数が公正証書のほうがはるかに少なくて済むし。費用は、客持ちだし、督促なんてしないで、サービサーがどんどん給差かけそうな。
法的なトラブル(言っていいこと悪いこと)もさけれるし。
業社側の経費やリスクを考えない金利設定はお客様との結びつきをどんどん希薄にしてしまう。お客様が、「ちょっと今月支払い遅れるんだけど」の問いに「....」としかいえなくなる。「遅れると給料差し押さえされますよ」なんていってしまった日には「それは、こまります」なんて話すらうっとうしくて、しなくなってしまう。お客様は、金融のツールぐらいにしか考えられなくなってしまうのではないのかな。

ここではまだ事業者向の金利には触れていないが、こちらも同額、同金利になってしまった場合、いままで親会社から長期の手形を貰ってしまったときなどに一括で割り引いてくれていた業社がなくなると悲惨なことになりはしないだろうか。手形は絶対もらえないとなると、それが原因で他に仕事をとられてしまうかもしれません。親会社にしても誰も手形を受け取ってくれないと、業務縮小ってことにも。実際に零細企業ってぎりぎりの線で成り立っているところ結構あるのですから。ってことは、手形を期日まで待てる余裕のない会社は直ぐに破綻してしまう。