自民党 小委員会

上限金利の設定焦点
最高20%派「借り手、すぐ窮地」
引き下げ派「ヤミ金利用増加」
 
貸金業者への規制強化をめぐる自民党内の議論が、6月中の大筋決定へ向け大詰めを迎えている。同党金融調査会の貸金業制度等に関する小委員会は14日、グレーゾーン(灰色)金利撤廃後の上限金利に関する本格的な議論に入り、現行の利息制限法の上限金利(年利15〜20%)を適用すべきだとの意見が大勢を占めた。ただ、「健全な業者の運営が行き詰まる」として出資法の上限金利(年利29.2%)までの引き上げを求める意見もあり、議論の行方はなお微妙だ。
自民・貸金業小委
自民党は、秋に予定される臨時国会貸金業規制法の改正を目指す方針。最高裁金融庁有識者懇が相次いで利用者保護の判断を示しており、同小委でも、出資法と利息制限法の上限金利を一致させ、灰色金利の存在をなくす考えでは一致した。しかし、新たな上限金利をどう定めるかについては、意見が分かれている。
この日の議論でも、現行の利息制限法の上限適用を支持する議員は「高金利」では借り手がすぐ行き詰まる」「業者の利益が多すぎる」と主張。一方、反対する議員は「(審査が厳しくなり)貸せない人が増え、ヤミ金融に向う」「参入や過剰貸し付けの規制を強化して悪質な業者を排除する方が、多情債務問題に効果がある」と述べ、妥協点は見えなかった。
 現行の出資法の上限金利を適用しようとの動きに対し、消費者金融問題に詳しい弁護士は「制度の改悪だ」と懸念する。
業界参入は規制強化へ
 灰色金利の融資契約は形式上違法だが、貸金業規制法の「みなし弁済」規定により、金利などを書いた書類を渡し、客が任意で払えば有効とみなされてきた。
 最高裁が1月、任意の支払いと判断できないなどとして、みなし弁済規定を事実上無効にする判決を出したことで、灰色部分の利息返還を求める動き、返還費用は大手4社だけでも年間1500億円に上る。
 仮に新たな上限金利が現行の出資法上限まで引き上げられれば、灰色とされてきた金利を「シロ」とみなすことになり、利用者よりも業者側の利益が大きい。
 利息制限法ができた当時は、企業向け貸出金利は年間10%程度だった。歴史的な低金利下で、上限を上げる根拠は乏しいという指摘もある。
 難航する議員に、自民党内には「詳細なデータ分析で金利水準を決めるのは難しい。金融庁が具体案を出すべきだ」と政府案へ切り替える案も浮上している。
 同小委では、上限金利以外の規制は強化する方向で固まった。貸金業への参入では、貸金業協会や客の借入残高などを登録する信用情報機関への加入などを義務付ける案が有力だ。返済能力を超える過剰な貸し付けを行政処分の対象に含め、業務改善命令も取り入れる。多重債務者向けの相談窓口の増設や、テレビCMの規制も含まれ見通しだ。

貸金業者への主な規制強化案
 「参入の際の義務付け」
貸金業務取扱主任者の在籍
貸金業協会への加入
信用情報機関への加入
「行為規制」
・ 悪質な取り立てへの罰則強化
・ 過剰融資を行政処分の対象に
「その他」
・ 業務改善命令を新たに導入
・ 多重債務者向けの相談窓口の増設
・ テレビ広告への規制強化

                   6月15日 朝日新聞より

 これからが、金利についての話し合い本番でしょうか。自由な金利設定は、自由な競争を促してからこそ生まれるもの。その部分を無視するのであれば、せめてリスクに見合った金利設定にして欲しいと強く思います。
我々にも、生活があり日本人として基本的人権だってあるはず。自由な競争の中で、小規模業社が衰退していくことには、何もいいわけは出来ません。しかし結果的に規制によって締め出されることに対しては、大変不満です。