80’s ホテル編

講義が終わってホテルに着くのはだいたいいつも4時半ごろ。

白のワイシャツとスラックスに着替えて、蝶ネクタイをつけて

短いジャケットをその上に着る。

本職のサーバーさんたちは、黒のジャケットで

一目で差別化されていることがわかる。

大体、宴会やパーティーは2時間から3時間。

食事や飲物を運ぶのも
2時間もあれば形が着く。
あとは、早く帰らないかなーと祈る。

そう、この祈る場所がコーヒーだけを一日中落としている部屋。
確かそんな小さな部屋があった。
お爺さん(特攻隊に行っていたけど帰ってこれたが自慢の)が一人でコーヒー
を落としている。
そこで、私はコーヒーを入れ終わるのを待ちながらタバコを吸っていた。

今とは違い、バイトでもかなりのゆとりがあったような。
だから、人生訓やら下ネタやら噂話やらがたくさん聞けた。
ためになったかどうかは知らないが。

その爺さんには、二ヶ月ほど「今日が初めてか?」と聞かれたが
ある日から突然、名前を君づけで憶えてもらった。
それからは、コーヒーが宴会用のポットに移されるまでの間
入れたてのコーヒーをデミカップに注いで「ほれ」と私にくれた。

   つづく。