だんどり

この日は忘年会の予定が入っていて

五時に近場のホテルの一階の割烹を予約していたはずなのだが

M様が庄屋でいいじゃあないのと発案されたそうで

まあ、いいかなどと思っていたのですが。

定刻にお店の前に行って見ますと、知った顔が数名並んでおります。

「行列のできるお店」だったのですねーと近寄ってみると。

どうして入らないのですか?

どうも満席らしいのよとM様。

だって予約してるでしょと私。

黙るM様。

この12月の土曜日の夜に予約なしで8人の座敷なんて

はいれるわけないでしょうよ。

向こう口に行ってみようよとM様。

向こうに行ったとしても、同様であることは目に見えてるし

なかった時に、他の店の数がこちら口よりはるかに少ない。

手当たり次第に電話するも、やはり予約で一杯のところばかり。

仕方なく、全員でモールに入り手当たりしだいに聞いてみることに。

ああ、いい年こいて情けない。

別にちょっと高い店でもいいじゅないとM様。

じゃあ何で割烹からチェーンの居酒屋に勝手に変ええたのよと思う私。

やっと入れたのは、学生でごった返すお店のカウンターでして。

数えて20軒目でした。

ドアが空くたびに寒く、落ち着かないまま二時間でお開き。

ああ、これなら孫と遊びながらご飯食べてたほうがどれだけ楽しかったか。

と、帰ってから娘夫婦に愚痴をいい。

自宅で飲みなおした私。

そして翌朝、携帯の留守番電話に気付く。

内容は、とても寂しいもので

一人の高齢の役員のおじいさんが、隣駅の庄屋に来てるんだがと

泣きそうな声で。

三回の留守番電話で、ご本人がお店を探し回っている様子が

ありありと。

ああ、フビンだ。

かわいそうに。

M様、場所もしっかり教えていなかったようで。

ご自宅に電話して平身低頭おお謝り。

怒りが収まらないので、M様にも電話して

「きちんと謝り労をねぎらってください」と。

高齢の方が寒風ふく夜道を店探しに一時間以上も歩き回るなんて。

風邪ひいて肺炎なったらどうすんのよ。


このM様、みどころあるかなと思っていたのですが(68才)

全くだめでした。