八百屋の息子いいかも

平成20年11月26日  衆議院 経済産業委員会



自民党 平 将明 委員 

 それでは、最後に、もう時間もないので、本題の方に入りたいと思います。

 私、今回の金融のこの件は、上限金利の制限がきいていると思いますよ。貸金業法の改正をして上限金利を規制しましたよね。これは意外と、余り想像力が働かないんだけれども、中小零細は資金繰りをやっている人が多いんですよ。これは結構きくんです。

 もう時間がないので、私、一方的にしゃべるので、最後に答弁ください。

 前回の貸金業法の改正は、消費者金融でしたよね。消費者金融でお金を借りちゃう、そういう人が多重債務になって生活が破綻をして、やみ金に行って悲惨なことになる。それはそれで、私、賛成ですが、一方で、小さくてもリスクをとってビジネスをやっている人というのはいるわけですよ。そういう人から考えれば、こういった金利の上限を制限するというのは全くおかしな話。包丁で人を殺すやつがいるから包丁を禁止するという話ですよ。

 自民党の議論でも役所の皆さんとの議論でもあったけれども、平さん、そもそもグレーゾーンの金利で金を借りるような会社はつぶれる会社だよ、貸さない親切というのはあるんだよと言ったけれども、これは大間違いで、短期の少額という資金ニーズには高い金利じゃないと貸せないですよ、どこでも。例えば、今月の月末に百万円払わなきゃいけない、二十五日に入金がある予定だった金が入らなくなった、でも月をまたげばまた百万入ってくる、じゃあ十日間、百万借りたい。これは六千円金利を取ったらアウトですよ、今の法律。でも、会社を経営している人から見れば、その百万、一万だって十万だっていいんですよ。

 だから、そういう全く現場を無視した法律をつくっちゃって、確かに多重債務者の命は救えたかもしれないけれども、個人事業主の自殺はふえているんじゃないですか。これを私はずっと言い続けてきたんだけれども、平先生、違うんです、今のこれはグレーゾーンじゃないんです、サブプライムです、原油高ですと役所はずっと言い続けてきた。

 そこで、若干資料を見ていただきたいんですが、お手元の資料の五枚目から始まります。これは東京情報大学の堂下先生という方が調査をいたしました。なかなか調査はないですね、零細企業の。それで、堂下さんという人が、五千五百人を対象に、日銀短観の対象にならないような零細企業をインターネットで調査しています。

 一枚めくっていただいて、六ページ。右側のこのグラフを見ていただきたいんですが、零細企業といえども、資金調達先、経常的な資金、要は長期で借りるお金は、やはり銀行から借りているんですよ。銀行四九・七%、信金、信組二八%。ただ、もう一枚めくっていただきまして、短期のつなぎ資金の調達先となると、一番は銀行だけれども、二位は何と消費者金融やクレジットカードローン会社から金を借りているんですね。

 しかしながら、この間の、金利の上限を制限しましたから、ノンバンクに対する銀行の貸し渋り貸しはがしが始まって、ノンバンクは今撤退モードですよ。外資はもう撤収しちゃいました。担い手はだれもいないですよ。

 こういった中で、こういう中小零細というのは、全部つながっているんです、経済は。中小零細は小企業と取引しているわけですよ。小企業は中企業、中企業は大企業と取引しているわけです。ですから、こういう金利を制限したことによって、一番リスクの高いところが金融の世界から、縁から崩れていっているんですよ。これはそろそろ見直しをしていただかなければいけないんじゃないか。現実を直視してもらいたい。

 それとあわせて、先般、英国の調査機関のポリシスというところのアナ・エリシオさんという消費者金融金利と消費者保護の専門家をお呼びして話を聞きました。何か民主党の方も勉強会をしたという話も聞いておりますが。

 金利の上限が低い国ほど問題の債権の発生率は実は高いんですね。それで、前回我々議論をしたときに、フランスは安いんだ、ドイツは安いんだと言ったけれども、あそこに実は保証料がかかってくる、遅延損害金がかかってきたり手数料がかかってきているわけですよ。そういうことを考えると、これはただただ金利を制限すればいい方向に行くわけではないということがこのアナさんの主張でありまして、前回、金融庁がさまざまな審議会で議論をしたときに、彼女は、自分の言った意見が誤って伝わっているんじゃないかといって、心配してわざわざ日本まで来たわけであります。

 そういうことをすべて考えれば、せめてビジネスユースの資金は、この上限金利を考えてくださいよ。これはどうにもならないと私は思います。

 最後の資料を見ていただきたいんですが、「わが国におけるリスクファイナンスの構造」というのを書かせてもらいました。

 従来の構造でいけば、メガも地銀も信金、信組もリスクをとっていないですよ。五%ぐらいまでのリスクしかとっていないんだから。その下のリスクは、全部ノンバンクがとっていた、もしくはGEとか外資がとっていたんですよ。これを、貸金業法を改正してノンバンクを全滅させたわけです。別に僕は業者の立場になる気はないけれども、その先には借り手がいるわけですよ。さらには、サブプライム問題で外資がいなくなったわけですよ。そして、さっき言ったように、銀行なんか何の努力もしていないから、ただただ貸さなければいいということで経営を守っているわけですよ。それで、結局だれもいなくなったんです。

 ここには中小零細がたくさんいるわけですよ。どこへ行くんですか、この人たちは。私はミドルリスクの銀行をやっていますけれども、グレーゾーンの人たちは、ミドルがないからグレーゾーンに行っちゃった人がいるわけです。二割、三割はミドルリスクで救えるけれども、残りの七割は救えないですよ。どこへ行くんですか、この七割の人は。わかるように説明してくださいよ。

 まあ、余りあれですけれども、そういうことで、上限金利の制限というものはもう一度よく見直していただきたい。最後に、答弁をください。それで終わります。

○細溝政府参考人 お答え申し上げます。

 一昨年の十二月に、上限金利の引き下げを内容とします改正貸金業法が成立しております。これは委員御案内のとおり、金利の実勢が、先ほど委員もおっしゃいましたとおり、二、三、四、五といった数%のところと二〇%超のところと、実は二つの山ができる、いわゆるフタコブラクダと言われていますが、そういった状況になっておりまして、これは必ずしもリスクに応じた適切な金利設定が行われているとは言いがたいという現状がございました。したがいまして、そうした現状を何とか適正化させたいという意義も有しております。

 ただ、上限金利の引き下げは、昨年十二月に本体施行いたしましたが、それから二年六カ月以内に施行ということでございまして、今、段階的に施行しているところでございます。上限金利の引き下げ自体は現在施行しておりません。これから、まさに昨年の十二月から二年半以内に施行される。その中で、利息制限法のもとで、適切なリスクに見合ったリターンをとるといったビジネスモデルを貸金業者の方には構築していただくための体制整備を図っていただきたいというふうに思っております。

 なお、セーフティーネット貸し付けも講じられておりまして、再生プロセスにある事業者に対する公的融資制度も積極的に活用を促すことといったことが多重債務問題改善プログラムでも明記されているところでございます。

 以上でございます。

○平委員 全然わかっていないんですね。金利を下げるのは来年かもしれないけれども、決まった時点からビジネスの世界は動くんですよ。それがまずわかっていない。それと、金利を制限した中でモデルをつくると言っているけれども、それ自体がリスクをとれない。端から、縁から全部崩れていくんですよ、全部つながっている。

 最後に、政治家、副大臣、どなたか、ちょっとこの件についてコメントをいただいて、終わりたいと思います。

○吉川副大臣 平議員がこの件に関しまして、平成十八年の改正のときにも、大変な御関心を持たれて党の部会等々でも御発言をされておりますことは私も十分承知をいたしておるところでございまして、政治家、私個人といたしましては、思いをともにするところがたくさんございます。

 ただ、役所的にどうしてもお答えをしなければなりませんのは、小規模の企業に関しまして、中小を含めてですけれども、多様な資金ニーズがあることはもう十分承知をいたしておるところでございまして、経済産業省といたしましては、セーフティーネット金融の充実を初めとする各種施策の充実に努めてきたところでありまするけれども、今後とも、中小・小規模企業の金融の実態や経営状況などにつきまして十分注視して、適切な施策を講じていかなければならないと考えているところでございます。(平委員「最後、金融庁副大臣」と呼ぶ)

○東委員長 谷本内閣府副大臣、時間が参っておりますので、簡単にお願いします。

○谷本副大臣 はい、簡単にいたします。

 平委員の思いはいつも聞かされておりますから、しっかりよくわかっております。金融庁といたしましても、どこに問題があるのか、それをしっかり見ながら、柔軟にまた対応を検討したいと思います。よろしくお願いします。

○平委員 終わります。ありがとうございました。

○東委員長 これにて平将明君の質疑は終了しました。

動画もありました。後半20%あたりからがそうです。
平将明衆議院議員公式サイト

この平議員、かなり零細企業への資金需要にこたえる様にと主張しています。
保証協会が、8%のデフォルトを覚悟しているのであれば、ぎりぎりまでリスクを広げるようにと。

要は8%の貸倒がでてもいい覚悟で貸付しなさいと。

でないと零細業者が借入れしていた金融業者が18年の貸金業法でいなくなった現在、だれもこのリスクを拾うところが無くなってしまうと。

>100万円を10日間で6000円取ったらアウトなんですよ。

その通り。しかも遅延金利(20%で計算している)で言っているあたり、かなり詳しそう。
18年から、事業者向けの上限金利は設けるべきではないと主張していたらしいけど、東京4区でこのような事をいっていた議員さんがいらした事は初耳でした。