慰め

◇京都大病院が25日朝に発表

 順天堂大付属順天堂医院(東京都)で脳死と判定された6歳未満の女児からの臓器提供で、京都大病院は25日、提供された女児の肝臓を10代女性に移植する手術が無事に終了したと発表した。これで女児から提供された臓器の移植手術は全て終わった。
 日本臓器移植ネットワークによると、10代女性は難病の原発性硬化性胆管炎を患っていた。京大病院によると、手術は24日午後4時20分ごろから始まり、25日午前6時50分ごろ終了した。
 女児は23日に脳死と判定され、心臓と肺は2人の10歳未満の男児、腎臓は40代女性と60代女性に移植された。膵臓(すいぞう)と小腸は医学的理由で断念した。【鳥井真平】

◇6歳未満臓器提供へ:女児両親のコメント全文

 私どもはこれまで娘の回復を期待し見守って参りましたが、辛(つら)く長い時間を経て、残念ながら脳死状態であり、回復の見込みがもはや無いことを受け入れるに至りました。向かう先は死、という状況の中、臓器提供という道を選択した理由は以下の通りです。
 娘は進んでお手伝いをしたり、困っている子がいれば寄り添って声をかけてあげるような、とても心の優しい子でした。臓器提供という形で病気に苦しむお子さんを助けることに、娘はきっと賛同してくれると信じています。こうして娘が短い人生の最期に他のお子さんの命を救うことになれば、残された私どもにとっても大きな慰めとなります。
 そして、もし我が子が臓器移植でしか助からない疾患を持って生まれてきていたら、私どもも臓器提供を必死に待ち望んだことでしょう。しかし臓器提供をする人があらわれなければ、それは叶(かな)いません。人はいつどちらの立場に立つか分からない。だからこそ、娘は今、臓器提供が可能な立場にいるのであれば提供しよう、と考えました。
 これまで全力で治療して下さった医師の皆様、愛情をもって娘を日夜お世話して下さった看護師の皆様、この困難な時期に私ども家族を支えて下さった多くの方々に、深く感謝申し上げます。そして、娘の臓器を受け取って下さる方々の回復を心よりお祈りいたします。