援用

そういえば、以前消滅時効の期間について書いたような。

そしたらたまたま連休中に電話をもらって。

休み中だったので、大して内容も聞かず

「弁護士さんに相談したら」

と、言ってはみたものの。

気になって、本日その内容を電話で確認。



もとヤンキー、50代のはなし。

15年前に知人(当時60歳)の男性から350万円を借りた。

そしてその男性が先月お亡くなりになり、遺品から借用書が出てきて

相続された子供の代理人弁護士から、催告書が届いた。

どうしたものか。

というはなし。


夕刻、仕事の帰りに寄ってもらう。



私「一番最後に返したのは何時ですか」

元ヤン「一度もお金は返してはいません」

私「一度もですか?」

元ヤン「はい、一度も」

私「返さなくてもいい理由がお二人の間であったのですか?」

元ヤン「はい、ありました。」

私「どんな?」

元ヤンは、モジモジしながらなかなかその理由を話そうとはしない。

私「返すつもりなのですか?」

元ヤン「お金の問題じゃないんです」

..............

私「では、弁護士にたのむと少なからずお金もかかりますから
  内容証明で相手方に時効の援用を宣言しましょう」

元ヤン「裁判とかには、ならないですか?」

私「しようとしても、これを出せば棄却されるはず」

通知書を打っている際に元ヤンに

「時効中断事由ないですよね」とききましたら

なんと「実は留置場に3日間入ったことがあります」と。

笑いながら「何したの」と聞き返すと

「子供のPTAの役員会の打ち上げで、他の子の親と喧嘩になりまして

相手の前歯を膝蹴りで3本折ってしまいました」

言い遅れましたが、この方女性です。

「強いんだね」といいましたら

「はい、剣道2段で柔道初段です」

この時点で、私も相方も笑いが止まらず。

本人も少し穏やかな表情に。

通知書を3通作って、それを持って自宅の管轄の郵便局の本局に
行くように言って。

帰りしなに不謹慎とは思いつつ、一番短い指をたてて

これだったのと聞くと小さくうなずいておりました。


本人は契約をきちんと履行したという自負もあるのですが、その書面から

大事になり裁判でもされたら残された家族にその事実が暴露されてしまう

のを一番危惧していたのでしょう。

たぶん。

まー、払わないのには訳があるってか。