8456って

変死体(へんしたい)とは、日本の刑事訴訟法第229条で規定されている変死者または変死の疑いのある死体の二者を総括した呼び名のこと。

変死者
異状死体の一部で、医師によって明確に病死や自然死であると判断されず、かつ、死亡が犯罪によるものであるという疑いのある死体のこと。
変死の疑いのある死体
異状死体の一部で、医師によって明確に病死であると判断されておらず、かつ、死亡が犯罪によるものであるか不明である死体のこと。
つまり両者をまとめると、変死体とは、死亡が犯罪に起因するものでないことが明らかであるとは言えない死体のこと。この死体は通常の医師では死亡診断を下すことが出来ず、検察官による検視の対象となり、監察医や法医学研究室等の検案によって死因の判断が行われる。また、死因疎明に必要があれば行政解剖や親族の承諾による任意の解剖、犯罪死の可能性がある場合は司法解剖の対象となる。


「変死体」増加の一途
◇昨年8456体 県警調べ/低い解剖率課題


 犯罪に巻き込まれた可能性もある「変死体」の数が、県内で増えている。昨年は8456体で、それまでの5年間で最も多かった2008年よりも34体増えた。高齢者の孤独死が増えたことも一因とみられるが、犯罪を見逃さないよう、県警は専門捜査員を増やしている。それでも解剖率は全国42番目の2・6%(同年)にとどまり、更なる改善が求められている。
「変死体」とは主に、医師の継続的な診断で明確に病死や老衰死と特定されていない遺体を指す。
最終的には病死と確認される事例が大半だが、犯罪に巻き込まれた可能性もある。そのため、捜査当局は、外傷や現場の状況などを観察する「検視」で事件性の有無を調べる。それでも死因が分からない場合は解剖し、専門医が内部を詳しく調べる。
県警によると、県内の変死体数は増え続けており、一昨年は全都道府県で4番目に多い8422体。昨年は、それをさらに上回った。
要因の一つに、孤独死の増加がある。昨年まとめられた県高齢者支援計画によると、県内の独り暮らしの高齢者の数は、05年時点で14万4千世帯で、その10年後の15年には倍近くになる。独り暮らしの高齢者が死亡すると、遺体が見つかるまでに時間がかかって死因の判断が難しくなることも多い。


◇検視態勢を強化


 検視・解剖は捜査の出発点として重視されている。事件性がないと分かれば、その後の捜査は不要になるからだ。
昨年8月、富士見市の駐車場に止められたレンタカーの中から見つかった男性会社員の遺体については、自殺を装った殺人事件の疑いがあるとして、捜査が続いている。
捜査関係者によると、施錠された車内に車のキーが残されていなかったり、遺体から睡眠導入剤の成分が見つかったりするなど、慎重な検視・解剖の結果、不審な点が浮かび上がったためという。
全国的には、解剖しなかったことで事件性の有無の判断ができなかった例もある。このため、警察庁は今年から、有識者らによる死因究明制度の研究に取り組む。
県警は、捜査経験と専門研修を積んだ「検視調査官」を増やして対応している。検視調査官が現場で遺体を調べた回数は、昨年は1400件で、前年比で30%増えた。現場への臨場数は、変死体数が多い東京都などを上回る。県警捜査1課は「犯罪の可能性のあるものは見逃さない姿勢で臨んでいる」としている。
しかし、解剖率(08年)は2・6%で、全国平均の9・7%を大きく下回っている。
昨年の解剖数は273件(解剖率は3・2%)で、全国で8番目に多かった08年と比べて54件増えたが、変死体数の多さに対応しきれていない。例えば、東京都などでは、専門医が遺体を調べる「監察医」制度があり、不審点があればすぐに解剖しているため、解剖率が18・9%(08年)と高いという。
県警に委嘱された専門医は4医療機関の計6人のみで、解剖する遺体を「厳選」しなければならない状況だ。

   asahi.comより