80’s ホテル編

初めて学生寮というものに入り3ヶ月ぐらいたったころ

同じくして入った、北海道出身の河村と群馬県太田の出身の小沢と

三人でバイトを探すことにした。

理由はもちろんお金の為でもあるが、なにせこの三人に共通するのが

高校時代に上下関係ということに、良くも悪くも経験が無く

先輩との接し方にめんどくささを感じていて、寮になるべくいないように

するためというのが本来の目的であった。

現在のように、バイト雑誌というものはなく

たまたま新聞の広告欄に出ていた「未経験者OK」の文字で

行ってみることに。

胡散臭いビルの三階に事務所があるのだが

○○配膳協会と看板が出ている。

この段階でも、まだどんな仕事内容なのかもさっぱりわからず。

入っていくなり、河村と小沢はオジサンに「二人はこっち来て」と別室へ。

私だけは、事務の叔母さんのデスクの横に座らされて

「明日から二時間、このN.Gホテルに行ってください。そしてそのあと

駅前のMホテルの7階へ行くように」

何のことやらさっぱりわからずじまいだったけど、田舎者の私でも

聞き覚えのあるホテルなのだから、危ない仕事ではないだろうと。

「仕事の内容は、配膳、そうサーバーです」と。

そう、ここの会社は配膳する人たちの人材派遣会社だったのでした。

なぜ私だけ二人と違うのかと聞きましたら、ただジーパンでなかったから

だそうです。

帰りに二人に聞きましたら、二人は数日後から始まるビアガーデンの

ウェーターだそうで、なんか楽しそうで、あー一人ぼっちになってしまったと

スラックスを履いていった自分を悔やんだのでした。