84-93-86 長文です

一回目 どう打つか考える。

二回目 開き直る。

三回目 現在の打数を確認する。

四回目 真っ白になる。

五回目 独り言を言う。

六回目 頭が以上に熱いのに気付く。

私ら素人は、大体こんな感じでバンカーの罠にはまります。

それまでのマネージメントやメンタルや大切なスコアなども

木っ端微塵に吹き飛ばし、奈落の底に突き落とされる。

まあ、誰もが経験する悲劇なわけです。

しかし、その時の下ちゃん。

「ノブキ、イヤーンでない❤っていわなきゃだめなんだって」

と二回目のバンカーショットの時に声をかける。

そして、三回目も四回目も。

下ちゃんの顔が満面の笑みから、爆笑を必死でこらえる顔に。

私としては先輩がプレーしてるので、なんとも言えませんが。

下ちゃんは同級生。

こんな悪態をつかれても、砂場から出てくると

いつもの仲良しに戻っているのです。

こちらとしても、下ちゃんのその言い回しに

噴出す寸前で。

砂場の中の人の気持ちは、痛いほど理解できるので

その状況が最悪であればあるほど、不思議なスイッチが入ってしまうものなのです。

住職は、このホール+6。

インターバルのカートでも下ちゃんは

「ノブキ、イヤーンでない❤っていわなきゃだめなんだって」

と再三言われて、ほんまにドSですわ。

そして次のホールの住職のティーショット

ほとんどドライバーは曲げない方なのですが、このときばかりは

左へ出たボールにフェードがかからず、一直線に林の中へ。

コーン、コーン、コーンと木から木へ。

そして、跳ね返ったボールはなんとフェアウエイに落ちてくるではありませんか。

私らがアングリと見ていた瞬間、後ろから

「出たー❤」と後ろの組のキャディーの気の抜けた声が。

この時ばかりは、一同大爆笑。

下ちゃんの振りにオチがついたのでした。


実話です。


実はこの先輩方の攻防には復旋がありまして。

午前の最終ホールのパー5。

住職はナイスショットでフェアウエイセンター。

グリーンまでは残り203ヤード。

けど、少しでもミスれば手前の池にはまります。

男住職、ここでウッド選択。

グリーンが空くのをまって、フルスイング。

うなりをあげて飛んでいったボールは、グリーンに直接落ちて

ピン奥7メートルに見事オン。

そしてグリーンに行ってみると、イーグルチャンスの住職のボールの50センチ

奥に下ちゃんのボール。

下りのまっすぐに見えるのですが、今日のグリーン結構速い。

「いやだなー、ノブキにライン見せたくないな」
「打ちたくないな」

とダダをこねる。

そして下ちゃんからアドレスに入ると、なかなか打たない。

私、この時分かったんです。

下ちゃんの考えていることが。

たぶん何かトリックを仕掛けてくるなと。

案の定、アドレスしている下ちゃんの顔はテカテカにひかり、今にも噴出しそう。

私は、わざとフックに打つかなと考えていましたが

恐るべし下ちゃん。

なんと1メートルもショートさせたのでした。

「あれー」とは叫んでいますが

絶対、悪魔のトリックです。

住職は、その先のラインが見たかったのにと嘆いていますが

けど、まっすぐですから、ね。

そして住職がアドレスに、私は下ちゃんの顔を観察。

下りの強さの加減が、ぐちゃぐちゃになった住職のボールは

やはり、1メートルもショートさせたのでした。

ワロた。ほんとにワロた。

この二人の先輩方のなんと愉快なことか。

30年も一緒にいるのだから、ツーカーなのでしょうけど

悪魔のささやきにまんまと乗せられる住職。

そっかー、悪魔VS住職なんだわな。

この二つのエピソードで、夕方の三時から始まった飲み会は大盛り上がり。

class="deco" style="font-size:xx-small;">実話です。